東方忘郷録 前 次あらすじ
いろんな場所でいろんなことが起きているのであった(まてや
泰は紅魔館を目指した、歩いて
「ぜぇ・・・ぜぇ・・・・ぜぇ・・・・」
泰は息を切らしていた
「なかなかに遠かった・・・てか死ぬかと思った・・・」
紅魔館に向かう途中、何度も妖怪に襲われて必死に逃げてきたのである
「だけど・・・とりあえず到着だな」
泰の目の前には大きな紅い館があった
「紅魔館ね、なるほど良いセンスだ」
紅魔館には窓がなかった、ただ紅い壁があるだけ
泰には、まるでそれは紅い監獄のようにも思えた
「そこのあなた!紅魔館に何の用ですか!?」
泰が扉の取っ手に手をかけた時、後ろから声が聞こえた
振り返るとそこにはまるでチャイナドレスのような服を着た女性がいた
「え?中国人?」
「っ・・・・・・・私を・・・・・・・・私を・・・・・・・・」
「あ、あれ?」
急に顔を伏せ、わなわなと肩を震わせ始めた
「私を中国と呼ぶなぁ!!!!」
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」
どうやら地雷を踏んだようである
女性は一気に距離を詰めて泰に迫る
「あぶね!」
間一髪のところでカードを発動し、空へ逃げた
「ふん・・・空にいるからって安心するなよ!」
そういうと女性は手を胸の前でくるくるとまわし
「
暗黒(自主規制)波!!!」
次の瞬間、泰めがけて光球が迫る
「この程度なら・・・ってなんでぇ!?」
迫りくる光球を避けた泰だが、光球はUターンして再度泰を狙う
「くっそ・・・ホーミング付きかよっ!
シャインシュート! 」
光球に向かってシャインシュートを放つ
二つの力が交わり、爆発した
「うわっ」
爆風で体勢を崩した泰は地上に落下していった
「ぐっ・・・・がぁ・・・」
空から落ちた衝撃は翼で多少は軽減したが、それでも大きなものだった
「さぁ、ここから立ち去りなさい!紅魔館には何人たりとも入れさせませんよ!」
「ぐっ・・・その紅魔館に用があるってのに・・・」
「用ですか?それはまた一体どのような?」
女性が警戒を多少緩めたのを泰は見逃さなかった
「パ、パチュリーに図書館に来るように言われたんです」
「パチュリー様に?それならそうと言ってくださいよ」
問答無用で襲いかかってきたのはあなたです
とは言えるはずもないので
とりあえず泰は体を起こした
「ところであなたは?」
「私はこの紅魔館の門番、紅美鈴です」
「なんか中国っぽい名前ですね」
「中国じゃありません!そもそも中国ってなんですか!なんで中国って呼ぶんですか!」
「とりあえず・・・美鈴さんですね、俺は泰です」
どうやら幻想郷に中国は存在しないらしい、だが誰かが中国と呼んだのろう
てことは・・・誰か他に俺と同じ境遇の人がいるとでもいうのか・・
「ところで泰さんはどうやって紅魔館へ?」
「あぁ、そこの湖からですよ」
木に寄りかかりつつ
パチュリーから貰ったカードを見せ、事情を説明した
「よくこれましたね、来るまでに妖怪に襲われませんでした?」
「えぇ・・・だから全力で逃げてきました・・・」
「・・・空を飛んで来ればよかったんじゃないですか?」
・・・・・・・・・・・・・
「その手があったぁぁぁ!!!!!」
泰の叫びは、紅魔館を包み込むようにむなしくあたりに響き渡っていた
・ ・ ・ ・
泰はやるせなさに襲われつつも
美鈴の案内で図書館へと来ていた
「ではここが図書館です」
「あ、はい、ありがとうございます」
「敬語は結構ですよ」
「美鈴さんも敬語じゃないですか」
自分はここの門番なので、と苦笑した
「それでは私は戻ります、今度暇なときにでもお話しましょうね」
そういって美鈴は戻っていった
「ここでは敬語ではなしてる方が珍しいみたいだな・・・敬語やめよっと」
そして泰は図書館の入り口へと向き直る
「ふぅ・・・さて、入るか」
扉の取っ手に手をかけて・・・
「あなた、ここで何をしているのかしら?」
ふと右を向けば、紅茶を持ったメイドらしき人がいた
「パチュリーに呼ばれてるんだ」
「あらそう、まぁ嘘かどうかは入ればわかるわね」
そういってメイドさんは図書館の中に入っていった
「やっぱり・・・敬語じゃなくても全然問題ないみたいだな」
この世界は常識にとらわれてはいけないと判断しつつ
泰もメイドの後に続いて図書館に入った
そして・・・
「ごふぅ!」
泰が入った瞬間、顔面に本が飛び込んできた
薄れ行く意識の中
パチュリーとアリスが物を投げ合いつつ喧嘩しているのが見えた
そして泰はそのまま意識を失った・・・・
二人が泰が倒れているのに気付いたのは
メイド・・・咲夜が二人の喧嘩を止め、落ち着きを取り戻してからであった
その時既に日は沈み、紅い満月が地上を妖しく照らしていた
~To be continued~